日本大百科全書(ニッポニカ) 「偶産チョウ」の意味・わかりやすい解説
偶産チョウ
ぐうさんちょう
その地域に本来生息していない(世代を継続していない)チョウで、他の地域から迷入したもの、あるいは一時的に侵入してきたものをいう。外国のチョウが日本で発見されるような場合のほか、山地のチョウが平地でとれる場合、また南方のチョウが温度が高くなる夏から秋にかけて北方に広がるような場合(このときには冬の寒さに耐えることができないのでその系統は全部死滅する)もある。最後のケースがほぼ毎年恒常的におこる場合には「候チョウ(こうちょう)」ということもある。偶産チョウの用語は「迷(めい)チョウ」とはいくらかニュアンスが違うが、現在日本ではほぼ同じ意味に使われる。
[白水 隆]