八兵衛(読み)はちべえ

精選版 日本国語大辞典 「八兵衛」の意味・読み・例文・類語

はちべえハチベヱ【八兵衛】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「はちべい」とも )
  2. ( 成田詣の客に「為(し)べえ、為べえ」、または「行きにも為べえ、帰りにも為べえ」と呼びかけたのを「四兵衛、四兵衛」合わせて八兵衛としゃれた語 ) 下総国(千葉県)船橋の淫売婦の異称。
    1. [初出の実例]「あるじ出て、八兵衛なんめさるべくやといひたるを」(出典:滑稽本・旅眼石(1802))
  3. あばずれ女。おてんば娘。また、多淫な女。
    1. [初出の実例]「娘の名にはちべいとはいかに、遊女芸子を子供といふがごとし」(出典:二篇おどけむりもんどう(1818‐30頃か))
  4. 間男(まおとこ)。密夫。〔新撰大阪詞大全(1841)〕
  5. ( ありふれた名であるところから ) いなか者や気のきかない町人をみくだしていう語。権兵衛
    1. [初出の実例]「愚鹵(こけ)な八兵衛をも明し」(出典:洒落本・京伝予誌(1790)序)
  6. 月経の異称。
    1. [初出の実例]「八兵衛━月経のこと」(出典:女工哀史(1925)〈細井和喜蔵〉一六)
  7. 幼児のぼんのくぼに剃(そ)り残しておく毛髪。権兵衛。〔随筆守貞漫稿(1837‐53)〕
  8. 裸体、また、八月などの擬人名。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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