八十日間世界一周(読み)ハチジュウニチカンセカイイッシュウ(その他表記)Le Tour du monde en quatre-vingt jours

デジタル大辞泉 「八十日間世界一周」の意味・読み・例文・類語

はちじゅうにちかんせかいいっしゅう〔ハチジフニチカンセカイイツシウ〕【八十日間世界一周】

原題、〈フランスLe Tour du monde en quatre-vingts joursベルヌの長編空想科学小説。1873年刊。80日間で世界一周をするというけに挑戦してロンドンを出発したフォッグ氏のさまざまな冒険を描く。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「八十日間世界一周」の意味・わかりやすい解説

八十日間世界一周
はちじゅうにちかんせかいいっしゅう
Le Tour du monde en quatre-vingt jours

フランスの作家ジュール・ベルヌの長編小説。1873年刊。正確な時間で行動する時間魔のイギリス人フィリアス・フォッグが、80日間の世界一周という賭(か)けに挑戦、物語が始まる。東回りでたどる海と陸の冒険行に、剽軽(ひょうきん)な召使いパスパルトゥーや、窃盗犯嫌疑でフォッグを追跡する警部が絡む。インドのヒンドゥー教徒やアメリカ・インディアンとの命がけの冒険あり、中国や日本の異国風景ありで、興味深い場面が次々に展開する。結局は遅れて到着し賭けに負けたと思い込むが、日付変更線のいたずらで実は勝っていたという結末まで、読者を飽かせることがない。

[私市保彦]

映画

アメリカ映画。原題はAround the World in Eighty Days。監督マイケル・アンダーソンMichael Anderson(1920―2018)。1956年作品。技法、物語、上映時間(167分)と、あらゆる角度から映画というメディアに挑戦した映画史上画期的な作品。ジュール・ベルヌの同名冒険小説映画化で、舞台は19世紀後半のロンドン、まだ飛行機のない時代に80日間で地球を一周できるか、という賭けを実行する物語。65ミリネガフィルムに、左右を圧縮した横縦比で撮影するアナモルフィック・レンズを用いずに撮影し、6本のサウンドトラックを有する70ミリの上映プリントに仕立てるトッドAOという方式製作上映された。こうした本作の挑戦は、当時、アカデミー5部門受賞するなど称賛を受けたが、撮影や映写にかかるコストの高さから映画市場に根付くことができなかった。本作のプロデューサー、マイケル・トッドMichael Todd(1909―1958)はトッドAO方式の開発者。1956年、アカデミー作品賞、脚色賞など5部門受賞。1957年(昭和32)日本公開。

[堤龍一郎]

『『八十日間世界一周』(田辺貞之助訳・創元推理文庫/木村庄三郎訳・旺文社文庫)』

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デジタル大辞泉プラス 「八十日間世界一周」の解説

八十日間世界一周

フランスの作家ジュール・ヴェルヌの冒険小説(1872)。原題《〈仏〉Le tour du monde en quatre-vingt jours》。1956年、マイケル・アンダーソン監督で映画化(邦題80日間世界一周』)。2004年、フランク・コラチ監督で映画化(邦題『80デイズ』)。

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