改訂新版 世界大百科事典 「公正競争規約」の意味・わかりやすい解説
公正競争規約 (こうせいきょうそうきやく)
商品やサービスの不当な表示や過大な景品付販売は〈不当景品類及び不当表示防止法〉(1962公布。景表法,景品表示法と略称)により,公正取引委員会の取締りを受ける。しかし,取締りに先だち,業界が自主的にこの種の悪しき慣行を排除できれば,より望ましい。そこで,景表法は,公正取引委員会の認定を要件として,事業者または事業者団体が,景品類または表示に関する事項について協定を締結する制度をつくった(10条)。この協定が公正競争規約である。その認定の要件は,(1)不当な顧客の誘引を防止し,公正な競争を確保するために適切なものであること,(2)一般消費者および関連事業者の利益を不当に害するおそれがないこと,(3)不当に差別的でないこと,(4)公正競争規約への参加脱退の自由があることであり,公聴会を開いた後に認定される。公正競争規約が認定されると,事業者等はこれに従うかぎり景表法および独占禁止法の違反に問われることがなく,かつ公正競争規約の内容が,その業界の商慣行として斟酌(しんしやく)される可能性が出てくるといった効果を生ずる。観光土産品,マーガリン,果実飲料,化粧品,自動車,家庭電気製品等多くの業界で公正競争規約が定められている。
執筆者:川越 憲治
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報