仏教でいう斎日で,毎月8・14・15・23・29・30の6日。前半・後半の3日ずつを三斎日という。この日鬼神が人を悩まし害するという古代インドの信仰をとりいれたもので,出家者は布薩説戒(ふさつせっかい)して自分の行為が規律に反しないか懺悔(ざんげ)し,在家の信者は八斎戒を守った。八斎戒は,昼以後の食事の禁止(斎)と,禁殺生などの七戒。とくにこの日の殺生禁断は令にも規定され,武家もこれにならった。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
…また厄よけを目的とする〈醮(しよう)〉という祭りもあり,これは夜間に供物を並べて神々を祭り,願いごとを上奏するやり方で,道教の祭りは両者を合して〈斎醮〉とよばれることもある。 斎は清浄の意味をもつから,仏教でもウポサタuposathaまたはポシャダpoṣadha(音訳は布薩(ふさつ))の訳語として戒律を守り,身を清める意味に用いられ,六斎日(ろくさいにち),すなわち毎月8,14,15,23,29,30の6日には,在家の信者は〈八斎戒〉を守らねばならぬとされた。それは,殺さず,盗まず,婬せずなどの8種の禁忌をいうが,なかでも〈非時食(ひじしき)〉,すなわち午後の断食が中心とされ,仏教では主として午前中の食事を意味することになった。…
…しかしこのような殺生禁断は日時や場所に限定があり,いつでもどこでも禁断されたのではない。もっとも多いのは月のうちの六斎日(ろくさいにち)の殺生禁断で,《大宝律令》の〈雑令〉に六斎日には公私ともに殺生を禁じている。これは斎戒をまもり,不浄から遠ざかる日なので,とくに殺生を禁じたものである。…
…ウパバサタと呼ばれる儀式は,その内容は異なるが,仏教以前からインドで行われていたもので,仏教はそれを換骨奪胎して採り入れたものといわれる。なお,在家の仏教信者(優婆塞(うばそく),優婆夷(うばい))が毎月8日,14日,15日,23日,29日,30日の六斎日(ろくさいにち)に八斎戒(はつさいかい)を比丘から受け,それをその日だけ守ることを布薩と称することもある。【岩松 浅夫】。…
※「六斎日」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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