六段の調(読み)ろくだんのしらべ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「六段の調」の意味・わかりやすい解説

六段の調
ろくだんのしらべ

箏曲名。段物または調べ物のなかの代表曲。『箏曲大意抄』以下に八橋検校の作曲とされているが,異説もあり,弟子北島検校の作曲と記す江戸の生田流の文献もある。吉川英史は,真田しんの伝える長野伝承の八橋流の『九段』が原曲である可能性があると推定しているが,平野健次は,『糸竹初心集』 (1664) や『大ぬさ』 (85) 収録の『すががき』を復元して,『六段』の初段旋律原形であることを指摘し,八橋の頃すでに三弦や一節切 (ひとよぎり) との合奏曲としても行われていたことを立証している。なお,のちに三弦曲として行われた『六段すががき』は,深草検校作曲とされる。6つの段から成り,各段 52拍子 (104拍) ,初段のみ 54拍子から成る。三弦の旋律には,本調子の本手以外に,国山勾当作曲の三下り替手があり,これを箏替手として雲井調子に移曲したものが行われているが,流派によって細かい異同がある。ほかに生田流には中空調子 (なかぞらちょうし) の替手もある。この『六段』の旋律を他の曲に合奏させる例も多く山田流の『ほととぎす』『住吉』『臼の声』『秋の七草』などの地に用いられるほか,光崎検校の『秋風の曲』の前弾きの替手や,『五段砧』の5段目に『六段』の第5段の旋律を用いたりもされている。

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