日本大百科全書(ニッポニカ) 「兵要録」の意味・わかりやすい解説 兵要録へいようろく 長沼流の主要兵書で、1666年(寛文6)長沼澹斎(たんさい)(1635―90)32歳のころの著作。内容は兵談(二巻)、将略(二巻)、練兵(九巻)、出師(三巻)、陣営(二巻)、戦格(四巻)の全六編22巻からなる。澹斎は初め甲州流など和流兵法を修めたが、ついで戚継光(せきけいこう)の『紀効新書(きこうしんしょ)』や茅元儀(ぼうげんぎ)の『武備志(ぶびし)』など中国明(みん)代の兵書に着目し、理論よりも節制や実事を主体とする斬新(ざんしん)な学風を唱えた。幕末、国際的危機が高まると、本書は福山藩や松本藩などで出版され、広く識者の間で読まれた。[渡邉一郎] 出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例