ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ペートゥルスソン」の意味・わかりやすい解説
ペートゥルスソン
Pétursson, Hallgrímur
[没]1674.10.27. フェルスティクラ
ハットルグリームル・ペートゥルスソン。アイスランドの詩人,牧師。アイスランドで最も偉大な宗教詩人の一人。
恵まれた家に生まれながらも放蕩生活を送り,少年期にコペンハーゲンに逃れ,鍛冶屋の見習いとなる。その後,ブリニョウルブル・スベインソン司教の影響を受けて,デンマークの聖母学院 Vor Frue Skoleに入学し,ラテン語の古典を学ぶ。1636年,アルジェリアの海賊に 9年間監禁されていたアイスランド人の一団のキリスト教再入信のための教育をまかされ,そのなかにいた 38歳の女性グゥドリドゥル・シモナールドッティルとの間に子が産まれ,その後結婚した。アイスランドに戻ったあとは肉体労働や漁業に従事したが,1651~69年にサウルベルで牧師になった。ハンセン病を患い,その悲惨な体験から世界最高峰の宗教詩の一つに数えられる『キリスト受難の賛歌』50 Passiusálmar(1666)を生み出し,個人的な苦しみをイエスの苦しみと融合させた。1666年の初版以降,1996年に第68版が出た讃美歌集はアイスランド人にとって最も重要な信仰の歌である。レイキャビークにあるハットルグリームス教会は,詩人に敬意を表して建てられた,アイスランドで最も大きく美しい教会である。
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