精選版 日本国語大辞典 「大老」の意味・読み・例文・類語
たい‐ろう ‥ラウ【大老】
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江戸幕府の役職中、最高位の職名。常置の職ではない。創置は不詳。酒井忠世(ただよ)(雅楽頭(うたのかみ))に始まると伝えるが確証はなく、むしろ1638年(寛永15)の老中土井利勝(としかつ)(大炊頭(おおいのかみ))・同酒井忠勝(雅楽頭分家讃岐守(さぬきのかみ))両人の格上げをもって大老職の設置としたほうがよかろう。こののち、酒井忠清(ただきよ)(雅楽頭、1666~80)、井伊直澄(なおすみ)(掃部頭(かもんのかみ)、1668~76)、堀田正俊(まさとし)(筑前(ちくぜん)守、1681~84)、井伊直興(なおおき)(直該(なおもり)、掃部頭、1697~1700、1711~14)、同直幸(なおひで)(掃部頭、1784~87)、同直亮(なおあき)(同、1835~41)、同直弼(なおすけ)(同、1858~60)、酒井忠績(ただしげ)(雅楽頭、1865.2~65.11)の順序で補任(ぶにん)された。ちなみに、大老格の柳沢吉保(やなぎさわよしやす)(松平、美濃(みの)守、1706~09)は役職上は終始側用人(そばようにん)であったと思われる。定員は通常1人、官位は井伊氏のみ家格によって正四位(しょうしい)中将、他氏は従(じゅ)四位少将となり、日々登城し、老中の上班にあって大政を総理したが、月番御用、評定所(ひょうじょうしょ)出座、奉書加判は免じられ、ときに御内書のことをつかさどった。老中・若年寄ともども殿中御用部屋に詰め、そのうち上之間の入側上座に屏風(びょうぶ)様太鼓張(たいこばり)の障子をもって一画したところで執務した。
ところで、4代将軍家綱(いえつな)の時期、酒井忠清と井伊直澄の両人が並行して大老に補任され、加えて阿部忠秋(ただあき)(豊後(ぶんご)守、1666~71致仕、1675没)が大老並(なみ)の処遇を受けた。しかし、これは三者三様であったと推測される。忠清は門閥譜代(ふだい)の代表として名実ともに幕閣の首班、直澄は譜代の棟梁(とうりょう)として徳川家の元老の地位にあり、忠秋は幕閣の長老として優待されたものと解せようか。とりわけ井伊氏は、江戸時代を通じて歴代会津・高松両松平氏とともに、将軍家の政治顧問の役目を負う溜間(たまりのま)に座班をもち、またなかば世襲のように大老に補任されて大政に臨んだが、ただ1人幕末期の直弼を例外として、酒井忠清、堀田正俊のように幕閣首班=執政として政治上絶大な権力を振るった者はなかったかにみえ、このことから、同じ大老といっても井伊氏と他氏とでは本来格式も性質も異なるものと考えられよう。なお、臨時に設置され大政に関与した役職に後見、輔佐(ほさ)、政事総裁、政事輔翼(ほよく)などがあったが、このうちの政事総裁は大老に近い性質のものであったと思われる。また3代将軍家光(いえみつ)の時期に井伊直孝、松平(奥平)忠明(ただあきら)、保科正之(ほしなまさゆき)(のち家綱の後見となる)、家綱の時期に直孝(継続)、榊原(さかきばら)(松平)忠次などが元老として大老・老中の上班にあって大政に参画した。これはおそらく溜間詰の原型をなすものであろう。豊臣(とよとみ)氏にも五大老があった。
[北原章男]
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江戸幕府の最高職。3代将軍徳川家光時代の1638年(寛永15)に土井利勝・酒井忠勝両人が任じられたのに始まり,その後,幕末期までに7人が任命され,うち4人は井伊家からでた。家光時代の井伊直孝はこの4人には含まれないが,実質的にのちの大老と同様の働きをしており,大老の起源とも考えられる。常置ではなく,定員1人。老中のうえに位置し,少将あるいは中将に任じられ,江戸城内では総下座の礼をうけた。4代将軍家綱時代の酒井忠清,5代将軍綱吉時代の堀田正俊,幕末期の井伊直弼(なおすけ)などは実質的に幕政を主導したとみられるが,ほかは日常的な幕政運営には関与せず,重要な政策決定だけに関与した。綱吉時代の柳沢吉保(よしやす)は少将に任じられて老中上座,大老格の待遇をうけたが,役職は側用人であった。
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…ここは毎日だれかが詰めていて,場合によっては幕政につき諮問を受けることがあった。幕末に至り溜詰格も出現したが,これも含め幕末には11家あり,大老はこの部屋の大名がなることが多い。(3)大広間は親藩大名と10万石以上の外様大名(国主である外様はすべてここに入る)からなり,幕末で37家存在した。…
※「大老」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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