旺文社日本史事典 三訂版 「円覚寺舎利殿」の解説
円覚寺舎利殿
えんがくじしゃりでん
国宝。かつて鎌倉時代の代表的遺構とされていたが,今では室町時代の建築であることが明らかになった。しかし,正福寺地蔵堂(東京都東村山市)とともに現存最古の禅宗様の遺構であり,肘木 (ひじき) や扇垂木の模様などがよくわかる。
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…建武新政府および足利尊氏からも,それまでの所領を認められ,南北朝の動乱期にも,いくつかの寺領を失ったが,30世大喜法忻(だいきほつきん)の俗弟の今川範国から寄進を受けるなど,駿河・武蔵・常陸に寺領の寄進があった。なお,1335年(建武2)には,それまで建長寺にあった開山祖元の塔頭(たつちゆう)正続院を円覚寺舎利殿に移している。室町時代には寺領は減少する一方で,74年(文中3∥応安7)には全山を焼失し,足利氏満や義満の援助を受けて復興したが,1401年(応永8),07年,21年,59年(長禄3)とつづいて火災にあい,1420年,33年(永享5)には震災にあって衰退した。…
…しかし今日では往時の面影をとどめているものはわずかに東福寺伽藍だけであり,三門,禅堂,東司(とうす),浴室の中世遺構が現存している。鎌倉円覚寺舎利殿,正福寺地蔵堂(東京都,1407ころ)の両者は方三間単層裳階(もこし)つき仏殿の典型で禅宗様の特徴を内外の各部にうかがえる。これより規模の小さい方三間単層仏殿遺構は安国寺釈迦堂(広島),天恩寺仏殿(愛知),普済寺仏殿(京都),常徳寺円通堂(香川),祥雲寺観音堂(愛媛),そして酬恩庵本堂(京都)などがある。…
※「円覚寺舎利殿」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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