寺院建築で建物外部の軒下に回した庇(ひさし)で、本屋の軸部を裳裾(もすそ)のように隠すことからこの名がある。裳層とも書く。外見的には重層建築と類似するが、四方差し掛けなので構造的にはまったく異なる。最古の例には飛鳥(あすか)時代の法隆寺金堂の初重にあり、奈良時代の薬師寺東塔(三重塔)では各重に裳階がついて六層にみえる。本屋に比べ構造・形式を簡略にするのが普通で、太い丸柱の軸部を覆って細い角柱とすることなどで、建物の外観を繊細にみせる効果があり、禅宗様の仏殿や法堂でも多用された。また、中世・近世には裳階を雪板の意で雪打(ゆた)(雨打(ゆた)とも書く)とよび、その様式を雪打造(づくり)と称した。
[工藤圭章]
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裳層とも。禅宗建築では雨打(ゆた)という。建物の軒下壁面に造られる庇(ひさし)様の外に柱を立てた部分。奈良時代に多く造られ,法隆寺金堂・薬師寺三重塔はその例。鎌倉時代になると一般の仏堂には裳階はなくなり,五山の禅宗建築に固定化した。裳階のある建物を雨打造という。
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… 母屋と庇は一連の屋根で覆われることが多いが,境界に段差をつけたものや,庇屋根を一段低くして別につくるものもある。また法隆寺金堂や薬師寺東塔のように,庇の外側にさらに建物を囲むように一段低い屋根を設けるものがあり,これを裳階(もこし)と呼ぶ。庇の屋根を一段低くしたり,裳階を設けたものは,外観は二重屋根となるが,内部は一階であって,二階造ではない。…
※「裳階」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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