冴冴・冱冱(読み)さえざえしい

精選版 日本国語大辞典 「冴冴・冱冱」の意味・読み・例文・類語

さえざえ‐し・い【冴冴・冱冱】

〘形口〙 さえざえし 〘形シク〙
① さえている上にもさえている。ひじょうによくさえている。澄み切っている。
※俳諧・暁台句集(1809)春「さかゆく民の薺打はやす音のあやあるも、手づつ成(なる)もさえさえしく」
気持がはればれとしている。また、活気がある。生き生きとしている。
談義本当世下手談義(1752)三「応対(へんじ)はさゑざゑしく何時もあいあいとこたへ」
三四郎(1908)〈夏目漱石〉三「冴々(サエザエ)しい顔をして野々宮君の家を出た」
さえざえし‐さ
〘名〙

さえ‐ざえ【冴冴・冱冱】

〘副〙 (多く「と」を伴って用いる) 空気が澄みきっているさま、物の形がはっきり見えるさま、気分がさわやかなさま、人の顔の血色がよいさま、人の態度言葉遣いがはきはきしているさまなど、それを感受する側にすがすがしい気持を起こさせるさまを表わす語。
仮名草子・犬つれづれ(1653)「とはざる程は物言はず、いふとても声低きく、あまりさへざへとなくて、少しおもはゆげにて」
多情多恨(1896)〈尾崎紅葉〉後「顔の色なら言語(ものいひ)なら、朝は割合に冴々(サエザエ)して」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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