凍港（読み）トウコウ

デジタル大辞泉

とうこう〔トウカウ〕【凍港】

山口誓子の第1句集。昭和7年（1932）刊行。

出典　小学館

精選版 日本国語大辞典

とう‐こう‥カウ【凍港】

1. 〘 名詞 〙 寒気で海面が氷にとざされた港。《 季語・冬 》
   1. [初出の実例]「凍港や旧露の街はありとのみ」(出典：凍港（1932）〈山口誓子〉)

出典　精選版 日本国語大辞典

日本大百科全書(ニッポニカ)

凍港
とうこう

山口誓子(せいし)の第一句集。1932年（昭和7）素人社より刊行。1924～32年（大正13～昭和7）の『ホトトギス』雑詠入選句より297句を収録。句集名は「凍港や旧露の街はありとのみ」ほかの幼少期を過ごした樺太(からふと)（サハリン）の回想句による。この句集で、従来の写生句の観念を破った新鮮な作風と、緊密な構成による近代的な作品をみせた。また意欲的に都会的題材を俳句化し、句内容の拡大を実現した。「学問のさびしさに堪へ炭をつぐ」「匙(さじ)なめて童(わらべ)たのしも夏氷」「7月や青嶺(あおね)まぢかく熔鉱炉(ようこうろ)」など。

［鷹羽狩行］

『『凍港』（1975・東京美術）』

出典　小学館　日本大百科全書(ニッポニカ)

世界大百科事典（旧版）内の凍港の言及

【山口誓子】より

…昭和初期《ホトトギス》雑詠欄で活躍，水原秋桜子，阿波野青畝，高野素十と共に4Sと並称された。秋桜子の抒情的な句風に対し，現代的素材の積極的摂取や知的即物的な写生構成の方法の導入により《凍港（とうこう）》(1932)，《黄旗》(1935)を上梓。青年俳人に多大な影響を与えて新興俳句運動の先導的役割を果たし，また昭和俳句の歩みの基盤と方向を決定づけた。…

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出典｜株式会社平凡社「世界大百科事典（旧版）」