切高仕法(読み)きりだかしほう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「切高仕法」の意味・わかりやすい解説

切高仕法
きりだかしほう

加賀藩独特の土地制度で、法令をもって1693年(元禄6)百姓持高永代売(えいたいうり)を許したものである。高を売ることを切高、買うことを取高というような異称を用いたのは、それを厳禁した幕府令を顧慮したからであろうが、幕府令では制限付きで許可した質入(しちいれ)高は、ここでは厳禁した。貨幣経済農村への浸透にしたがい、貧窮に迫られた百姓の間で、持高を質入れ同様に処分する者が多発したので、むしろ手余り地を売り渡させるのを主眼としたのである。これは、約40年前に施行した改作法の影響として、百姓に適正な持高を維持させるという趣旨が生かされていると考えるべきであろう。

[若林喜三郎]

『若林喜三郎著『加賀藩農政史の研究 上巻』(1970・吉川弘文館)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「切高仕法」の意味・わかりやすい解説

切高仕法
きりだかしほう

江戸時代,加賀藩の行なった年貢確保のための土地売買公認制度。同藩は幕府に先んじて元和年間 (1615~24) から田畑の永代売買を禁じていたが,元禄6 (93) 年その禁を解き,高持百姓が年貢上納のため土地を売却するのを公認した。他人に売渡した百姓持高を切高 (切出高) ,買取った高を取高 (取添高) といい,売買に種々の条件を付してこれを切高仕法と称した。この仕法は商品経済の進行,改作法の強化による農民層分解促進と関係があり,18世紀には持高全部を売却するものも出た。藩は2升高は必ず残すよう命じるなど切高の制限を強化した。

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