労働者が入社時に定められる賃金で、通例、基本給の額として規定されている。新規学卒者に対しては、中学卒、高校卒、大学卒など学歴別に定め、中途採用者については、在籍労働者とのバランスと世間相場とを考慮して定められる。年功賃金制度をとる日本の場合、その出発点となる新規学卒者の初任給が特別に重要な意味をもってきた。高度成長期には、若年労働者の需給逼迫(ひっぱく)を背景に大幅な上昇を示し、かつ、世間相場への収斂(しゅうれん)化によって格差もかなり縮小されてきた。しかし、1970年代なかばを境とした低成長への移行による上昇率の鈍化、産業構造の転換による産業間の労働力需給の相違、賃金制度の能力主義的再編と職種別設定、年功制自体の見直しによる位置づけの変化などによって、多様な格差が生まれている。
[横山寿一]
…年功的基本給とは,学歴・年齢・勤続年数・成績・人事考課などの基準で,決定,格付けられたものであり,官公庁,民間大企業の男子労働者に最も典型的な賃金慣行である。その出発点は新規学卒者の学歴別初任給であり,定期昇給額の勤続年数による積重ねで組み立てられている。定期昇格制度は,勤続年数による自動昇格のほかに,人事考課による査定昇格が含まれているから,人事考課制度も基本給管理の一構成部分である。…
…これは年功的昇進制度といわれる。 また,日本の企業の報酬制度の基礎である基本給は,原則として初任給と定期昇給によって決められている。初任給は採用時の基本給であり,定期昇給制度は毎年一定の時期(多くは4月1日)に全従業員の基本給を上方に改訂する制度で,この場合,個々の従業員について職務,過去1年間の勤怠,業績,能力の伸長度などを評価し,昇給額または昇給率に差を設けている。…
※「初任給」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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