初期キリスト教建築(読み)しょきキリストきょうけんちく(その他表記)Early Christian architecture

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「初期キリスト教建築」の意味・わかりやすい解説

初期キリスト教建築
しょきキリストきょうけんちく
Early Christian architecture

キリスト教初期の数世紀間,最近の区分によると,東方ではビザンチン建築が展開し始める5世紀頃まで,西方ではゲルマン民族によるメロビング朝建築が現れる6世紀頃までのキリスト教建築を総称し,その中心はキリスト教の聖堂建築にある。 313年の「ミラノ勅令」までは,比較的弾圧の弱かった東方に聖堂が建築されたことは知られるが,ドゥラ=エウロポスの小聖堂を除いて遺構は少なく,その構造もほとんどカタコンベである。 313年以後はコンスタンチヌス帝の都ローマを中心に,地中海沿岸,コンスタンチノープルをはじめとする東方各地にバシリカ式建築および集中式建築の聖堂が建造された。代表例はローマのサンタ・コスタンツァ廟堂,ラテラノの洗礼堂 (4世紀初) など。4~5世紀になると建築技術の発展に伴い,バシリカ式および集中式の折衷様式も現れた。またコンスタンチヌス大帝によってバシリカ式聖堂が多く建てられたが,サン・ピエトロ大聖堂,サン・ジョバンニ・イン・ラテラノ聖堂,サン・ロレンツォ・フオーリ・レ・ムーラ聖堂などは再建修復のため,現在では本来形態を失い,サンタニェーゼ・フオーリ・レ・ムーラ聖堂 (4世紀前半) ,サン・サビーナ聖堂 (5世紀前半) などの小聖堂,サンタ・マリア・マジョーレ聖堂 (5世紀初) などが代表的遺構となっている。

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