院や公卿の家政機関の中の一つ。《拾芥抄》には,院庁内の役所として召次所,仕所(さぶらいどころ),御服所,御厨子所(みずしどころ),進物所,文殿(ふどの),所衆(ところのしゆ)(蔵人所),武者所,御随身所(みずいしんじよ),御厩(みうまや)と並んで別納所があげられている。院庁の別納所には役人として年預(ねんよ)が置かれていたようで,《葉黄記》寛元4年(1246)閏4月27日条には,別納所年預景資逝去の替りとして重俊という者が補せられたことがみえている。《西宮記》の〈院宮事〉には〈上皇……供膳同在位儀(采女供候)別納供御飯(勅旨田地子)御菜(御封物)〉とみえ,また《葉黄記》寛元4年5月18日条には〈参院……八幡御精進,門々立札,又御湯殿具,別納所所進之〉とみえるから,院庁の別納所は院分勅旨田や封戸等の管理に当たり,そこから上がってくる納物を別に納め,必要に応じ進上していたところと考えられる。公卿の家政機関にも同様の別納所があったことは,藤原実資の《小右記》万寿4年(1027)12月4日条に〈以別納所米給貧者〉とみえるので知られる。
執筆者:泉谷 康夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
… 院司の構成にはかなり変遷があるが,《西宮記》《拾芥抄》《名目抄》その他の記録により,平安・鎌倉時代の院司を概括すると,二十数種に及ぶ。それを性格・機能のうえから分類すると,(1)院中の諸事を統轄処理するもの=別当・判官代・主典代,(2)上皇の側近に侍し身辺の雑事に奉仕するもの=殿上人・蔵人・非蔵人,(3)各種の職務を分掌するもの=別納(べちのう)所・主殿(とのも)所・掃部(かもん)所・薬殿・仕所・召次所・御服所・細工所・御厨子(みずし)所・進物所・御厩・文殿(ふどの)など,(4)上皇の身辺および御所の警固に当たるもの=御随身所・武者所・北面・西面などに整理できる。まず(1)は院司の中核で,(1),もしくは(1)(2)に限って院司と称した例も多い。…
※「別納所」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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