剔紅(読み)テキコウ

精選版 日本国語大辞典 「剔紅」の意味・読み・例文・類語

じっ‐こうヂッ‥【剔紅】

  1. 〘 名詞 〙 ( 正しくは「てっこう」。「ちっこう」とも ) 漆芸彫漆一つ朱漆を塗り重ねて文様を彫り表わしたもの。また、その技法。中国での呼称で、日本では一般に堆朱(ついしゅ)という。中国の宋(九六〇‐一二七九)以後、盛んに作られ、室町時代に日本に伝わった。
    1. [初出の実例]「剔紅(チッコウ) 色あかし地に水わちかへひしなとをいかにもこまかにほりてその上に屋躰人形花鳥はかり色々ほり候を云也」(出典君台観左右帳記(1511))

てっ‐こうテキ‥【剔紅】

  1. 〘 名詞 〙 漆芸の彫漆の一つ。朱漆を塗り重ねて文様を彫り表わしたもの。また、その技法。中国での呼称で、わが国では一般に堆朱(ついしゅ)という。また、古くは「じっこう」と慣用で読んだ。〔格古要論‐古漆器論・剔紅〕

てき‐こう【剔紅】

  1. 〘 名詞 〙てっこう(剔紅)

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普及版 字通 「剔紅」の読み・字形・画数・意味

【剔紅】てきこう

漆器の一。

字通「剔」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の剔紅の言及

【彫漆】より

…漆の色や文様の違いによって,堆朱(ついしゆ),堆黒,堆黄,屈輪(ぐり),彫彩漆(紅花緑葉)などの名称で呼ばれる。これらは元来中国で盛んに行われたもので,中国では堆朱を剔紅(てきこう),堆黒を剔黒,堆黄を剔黄,紅花緑葉を剔彩ともいう。またくりくりとした屈曲文様をもつ屈輪は,明代隆慶年間(1567‐72)ころに黄大成によって著された《髹飾録(きゆうしよくろく)》にはその名称がなく,環,重圏,圏文,雲鉤などと表されている。…

【堆朱】より

…彫漆は中国の唐代におこったことが記録にあらわれるが,宋代以降の遺品が現存し,とくに明代には盛行をみた。堆朱を中国では剔紅(てきこう)ともいい,日本には鎌倉時代以降盛んに舶載された。国産品が製作されたのは室町中期ころからで,堆朱楊成家が代々その主要作家である。…

※「剔紅」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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