剪断加工(読み)せんだんかこう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「剪断加工」の意味・わかりやすい解説

剪断加工
せんだんかこう

金属板をまっすぐに切断直線切り)するには剪断機またはシャーとよばれる機械が使われる。これは、切れ刃のついた一対の工具を鋏(はさみ)のように互いに傾けて取り付け、刃を材料に強く圧しつけて食い込ませ切断する機械である。一般に一対の切れ刃工具を用いて大きな板または長い棒状の材料から所定形状寸法の材料を切断、分離する作業を剪断加工といい、金属加工の分野できわめて広く行われている。剪断加工は剪断機を用いて行う場合と、プレスに剪断金型を取り付けて行う場合とに大別される。剪断機による作業は直線切りが多く、大型の剪断機には、切れ刃の長さが7メートルに及び、厚さ5センチメートル程度までの厚い鉄板を切るものもある。また、短い直線刃または円板に切れ刃をつけた回転刃を用いて、厚さ5ミリメートル程度までの鉄板の曲線切りができる剪断機も考案されている。管、棒、形材の切断には、それぞれの断面形に応じた形状の切れ刃工具が使われる。プレスに剪断金型を取り付けて行う剪断は、剪断機で行う場合よりも、複雑な形状の製品を精度よく多量に生産できる。金属板の所定位置に穴をあける場合は穴あけまたは穴抜き加工とよばれ、板厚の半分ぐらいまでの直径の小円孔をあけられる。穴あけとは逆に、剪断によって切り落とされた切片のほうを製品とする場合は、打抜き加工とよばれる。これらの剪断加工は、曲げや絞りなどのプレス加工と組み合わせて行われることが多い。高速のプレスでは毎分の作業回数が2000に及ぶものがある。剪断切り口面がきれいで寸法、形状の精度が高い製品を得るために、仕上げ抜き法、精密剪断法、対向ダイス剪断法、上下抜き法、縁仕上げ法などの方法が考案実施されている。剪断加工はプラスチック板や紙に対しても行われる。

[高橋裕男]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「剪断加工」の意味・わかりやすい解説

剪断加工
せんだんかこう
shearing

工具を用いて素材(おもに板材)に剪断応力を与え,所要の形状,寸法に切断する加工。加工範囲は広く,一部切削加工に属するものもあるが,次の各加工に大別されている。 (1) 突っ切り加工 ゴムやプラスチックなどの比較的やわらかい素板を基板の上に載せ,所要の形状をした切刃を押しつけて切り取る方法。パッキン類の製作に用いる。 (2) 剪断加工 切刃部をもつ上型と下型の間で,素材に剪断応力を与えて切断するもので,大きな板材から所要寸法の板どりをするときに利用する。 (3) 打ち抜き加工 上型と下型を用いて,型どおりの形状,寸法に板材を打ち抜くこと。もっぱらプレス作業によって行なう。 (4) シェーピング加工 打ち抜きされた加工品の寸法精度や仕上げ程度をさらに向上させるため,わずかな仕上げ代(しろ)をもって再加工することをいう。剪断加工よりむしろ切削加工に近いものが多く,ブローチ加工やバニシング加工などが含まれている。

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