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労働市場の潮流 ろうどうしじょうのちょうりゅう

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知恵蔵2015の解説

労働市場の潮流

様々な格差論がジャーナリズムなどの論壇をにぎわせている。その実態は複雑である。背景には経済、技術などのグローバル化への企業の対応、政府の構造改革路線に沿っての規制緩和の動きがある。グローバルな競争に生き残りを図る企業は、変化に柔軟に対応しながらも、コスト削減と生産性向上を同時に達成することを迫られている。そのため、基幹的部分での労働力は最小限確保しつつも、雇用需要増加への対応はパートタイム労働者派遣労働者契約社員などの非典型(非正規)雇用に依存する方向が主流になっている。労働市場の二極化といわれる現象である。 この過程で正社員といわれる労働者と他の労働者の間に給与などの報酬、労働時間などに様々な差異が生まれ、拡大を見せている。とりわけ、労働市場で経験の浅い若年者は、失業者やフリーターとなることも多い。正社員となるか非正規社員を続けるかでは、生涯賃金で男女共に1億円以上の開きが生まれる。その結果、従来はあまり目立たなかった所得格差の拡大が見られるようになってきた。 国民の間に広がった格差拡大や長時間労働など労働環境悪化への不安や不満は、早急に解消すべき政治的課題でもある。特に若年層の間に増加した不安定雇用は放置すると、いくら働いても貧困状態から脱却できない「ワーキングプア」の定着化につながりかねない。最低賃金制の拡充などによるセーフティーネットの充実を含め、適切な就業支援策、労働条件の改善に向けての強力な施策導入が急務である。

(桑原靖夫 獨協大学名誉教授 / 2008年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵2015」
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