改訂新版 世界大百科事典 「労働者友愛会」の意味・わかりやすい解説
労働者友愛会 (ろうどうしゃゆうあいかい)
Arbeiterverbrüderung
1848年革命期に設立されたドイツ労働運動史上最初の全国的労働者組織。ベルリン労働者会議(1848年8月23日~9月3日)において結成された。植字工シュテファン・ボルンStephan Born(1824-98)を中心とする中央委員会はライプチヒに置かれ,機関紙《友愛》(1848年10月3日~50年6月29日,週2回刊)を発行。手工業的熟練を持ちながらも実質的には賃労働者化しつつあった〈職人労働者〉層を主たる担い手とし,活動の主眼は〈労働の所有者〉たる労働者の組織化と政治への参加の認知,種々の自助活動(労使関係の調整,生産協同組合,共同購入組合,保健協会等々)の展開に置かれた。こうしたドイツにおける近代的労働組合運動の端緒ともいうべき活動は,後にF.エンゲルスにより〈経済主義〉と批判されることとなる。反革命が台頭するなかで,50年初頭には1万8000名の会員を擁していたと推定されるが,53年ベルリン保健協会の弾圧を最後に活動を終えた。
執筆者:川越 修
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