北海道古地図集成(読み)ほつかいどうこちずしゆうせい

日本歴史地名大系 「北海道古地図集成」の解説

北海道古地図集成
ほつかいどうこちずしゆうせい

一冊 高倉新一郎編 北海道出版企画センター 昭和六二年刊

解説 北海道古地図史研究の第一人者であった高倉新一郎が、昭和五六年の「北海タイムス日曜版に「北海道古地図散歩」という題で一年間にわたり一ページ大のカラー印刷で連載した古地図と解説をまとめたものである。解説された古地図のほとんどは北海道大学附属図書館所蔵であったが、本書刊行に際しては新たに他の施設が所蔵する稀少な古地図が若干追加されて収録地図は七十数点に達しており、面目を一新したものとなっている。その結果本書には従来知られることが少なかった、あるいは印刷されることのなかった古地図が初めて大判のカラー印刷で示されたものがあり、それらの地図が広く利用可能になった意義は大きい。松前藩正保国絵図(松前国蝦夷図)元禄国絵図に始まり、「和漢三才図会」、「津軽一統志」収録の「蝦夷地図」にもみられる原初的な地図につづいて、天明・寛政期の実測地図が示され、堀田仁助伊能忠敬の江戸より東蝦夷地までの連続地図も含まれている。前期幕領期における蝦夷地図の発展も解説され、近世末期の地図のなかには種々の刊行図のほかに、知られることの少ない今井八九郎の蝦夷地里数書入地図(部分)松浦武四郎の三航蝦夷全図などもある。本書の説明は近世の蝦夷地図の延長として、明治初年の北海道の三角測量図・地質図・海図の発展にも及んでいるが、それらは並行的に示されている諸外国のエゾ地図との対比と同様、この蝦夷古地図集に幅と広がりを与えている。巻末には松浦武四郎の東西蝦夷山川取調図にもとづいて小林和夫が作製した、北海道および南千島諸島の詳細なアイヌ語地名を記した地図が附録として加えられている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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