普及版 字通 「匡(漢字)」の読み・字形・画数・意味
匡
人名用漢字 6画
(異体字)
9画
[字訓] ただす・はこ
[説文解字]
[金文]
[字形] 形声
正字はに作り、(こう)声。〔説文〕十二下に「、筥(きよ)なり」というのは筐の意。竹部五上に「(きよ)、牛に飮(みづか)ふ筐なり。方を筐と曰ひ、圜(ゑん)をと曰ふ」とある筐を、匡の異文とする。匡に方の意があり、匡正・匡救の意に用いる。は王の上に(止(あし))を加える形。軍などの出行のときにあたって、聖器としての鉞(まさかり)(王はその頭部の形)に止を加え、一種の授霊の儀式をする。それを秘匿のところで行うことをという。それで軍行にあたって、〔詩、小雅、六月〕「以て王國を匡(ただ)せ」のようにいう。金文にはに従う字があり、〔麦尊〕「命に(こた)へん」のように用いる。みな征命を行う意。征伐して王命を布き明らかにすることが、字の初義であった。
[訓義]
1. ただす、ただし明らかにする。
2. すくう、たすける。
3. 筐と通じ、はこ。
4. (きよう)と通じ、おそれる。
5. と通じ、まぶち。
6. と通じ、あしなえ。
[古辞書の訓]
〔名義抄〕匡 タダシ・タダス・マサシ・タクマシ・ヲツ・カシコマル・ススメリ・マウス・スケ・ヤム 〔字鏡集〕匡 ヤム・タクマシ・マサシ・タダス・マウス・タダシ・タスク・スケ・ヲツ・ススメリ・ハコ・スクフ・カシコマル
[声系]
匡は声に従い、声符として王の字形をとることが多い。〔説文〕に声として(往)・枉・狂・汪・匡・・誑など十六字を収める。おおむね非常の勢いをもつこと、また測りがたい意をもつ。は鉞頭(王)に止(あし)を加えて、異常な呪力が付与されるとする呪儀。その呪力の甚だしい状態を狂という。
[語系]
匡・筐khiuang、筥・・kiaは声が近い。〔説文〕に匡を筐にして、筥・の意と解したが、匡は・枉・狂系統の語。・hiuang、狂giuangとその声が近い。・は重要な使命を帯びて出行すること、匡は特に軍行にいう語であった。
[熟語]
匡悪▶・匡衛▶・匡益▶・匡改▶・匡郭▶・匡廓▶・匡諫▶・匡糾▶・匡救▶・匡矯▶・匡懼▶・匡護▶・匡佐▶・匡坐▶・匡済▶・匡賛▶・匡時▶・匡邪▶・匡助▶・匡牀▶・匡拯▶・匡振▶・匡世▶・匡制▶・匡正▶・匡勅▶・匡飭▶・匡導▶・匡難▶・匡寧▶・匡弼▶・匡▶・匡復▶・匡払▶・匡補▶・匡輔▶・匡翊▶・匡翼▶・匡励▶
[下接語]
一匡・靖匡・弼匡
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報