十年戦争(読み)じゅうねんせんそう(その他表記)Ten Years' War

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「十年戦争」の意味・わかりやすい解説

十年戦争
じゅうねんせんそう
Ten Years' War

1868~78年のスペイン植民政権に対するキューバ人ゲリラの革命戦争。黒人奴隷の解放,減税などをめぐって植民政府の腐敗,無能が糺弾されたが,政府はこれを無視して軍の力で抑圧。改革のためのスペイン国会へのキューバ使節団が失敗したあと,キューバの指導者のうちの急進派は完全独立を目指し,その中心人物 C.セスペデスは,68年 10月 10日,ヤラにおいて革命を宣言 (→ヤラの叫び ) ,奴隷解放と普通選挙を要求した。その結果,双方の死者 20万,物的損失7億ドルに上る凄惨な内戦に発展した。戦乱はおもに東部に限られたが,スペイン軍の残虐に対してゲリラ側も無差別殺傷を繰広げた。南北戦争で弱体化したアメリカの干渉も奏功しなかったが,戦乱は 78年エルサンホン和約でスペインが,政治犯の釈放,反乱した奴隷の解放,奴隷制廃止などを含む政治改革を約束したことで終息,スペイン国会へのキューバ代表権が認められた。しかしスペインは約束を怠り,増税と貿易制限を課したので,95年再び独立戦争が起り,98年のアメリカ=スペイン戦争へと展開した。

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