半幕(読み)ハンマク

デジタル大辞泉 「半幕」の意味・読み・例文・類語

はん‐まく【半幕】

能で、揚げ幕の裾を巻き上げて、幕の内にいるシテ下半身あるいは床几しょうぎに腰掛けた全身を見せること。特殊な能の後ジテの出に用いる。→片幕かたまく本幕

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精選版 日本国語大辞典 「半幕」の意味・読み・例文・類語

はん‐まく【半幕】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ( 幕は二つで一帖というところから ) 幕一つのこと。
  3. 軍陣で、外幕(とまく)の内に張る、やや小さい幕。内幕。小幕。
    1. [初出の実例]「幕の名所。〈略〉今は半幕也」(出典:今川大双紙(15C前)陳具に付て式法之事)
  4. 能楽で、揚幕を半分引き上げること。船弁慶の特殊演出などで後ジテの出のとき、幕の裾を一メートルほど巻き上げ、幕の内のシテが床几(しょうぎ)にかけているときは全身、立っているときは半身を見せるようにするもの。

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世界大百科事典(旧版)内の半幕の言及

【幕】より

…そして,このように幕に対する特殊な感情があったがゆえに,いわゆる〈幕離れ〉にはいろいろな演出が考えられた。たとえば,能の《船弁慶》における後ジテ知盛の亡霊の出には,まず半幕(半分ほどの高さまで巻きあげる)にしてその姿をみせ,〈あら珍しやいかに義経〉と子方を見てからそこでいったん幕をおろし,ふたたび幕の全体をあげて早笛(はやふえ)の囃子(はやし)に乗って一気に走り出る,という演出がしばしば行われる。また歌舞伎には,《勧進帳》の弁慶の飛六方(とびろつぽう)でよく知られるように,いったん,引幕を引いたのち,これをくぐって役者が出て,ふたたび花道から揚幕へ入るという,〈幕外(まくそと)〉の演出があり,これは視覚的には,効果的な一種のクローズ・アップの手法ともいえるが,六方という特異な動作と合わせて考えるとき,それはむしろ,幕を出て幕に入るという〈神話的〉な身ぶりであるといえる。…

※「半幕」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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