山川 世界史小辞典 改訂新版 「南アメリカの独立」の解説
南アメリカの独立(みなみアメリカのどくりつ)
ナポレオンのスペイン侵入(1808年)によって生じた政治的空白から生まれた南アメリカにおける独立運動は,二つの段階に分けられる。(1)1808~16年までの期間にいくつかの地域で,クリオーリョを中心とする独立運動が起こったが,ナポレオンの敗退後スペインのフェルナンド7世の復位とともに,それらの大部分が抑圧された。(2)1816年以後再び独立運動が盛んになり,ペルー副王領を中心にスペイン勢力がその制圧に努めた。スペイン植民地においては周縁的な位置にあったベネズエラとラ・プラタ地方の独立運動が,シモン・ボリーバル,サン・マルティンという優れた指導者を得て,域外にまで広がり,大コロンビア(現在のベネズエラ,コロンビア,エクアドル),ペルー,ボリビア,チリ,アルゼンチン,パラグアイ,ウルグアイが1830年までに独立した。ブラジルはこれと別に帝国として22年に独立し,メキシコ,中米と合わせて,キューバ,プエルトリコ以外のスペイン領はすべて独立した。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報