西インド諸島を含めた南北アメリカのスペイン植民地で生まれた白人。厳密には白人クリオーリョと白系混血クリオーリョに分かれるが、後者も白人とみなされる場合が多かった。ペニンスラールpeninsularとよばれたスペイン出身の白人とともに法的にはスペイン人とみなされ、植民地社会ではインディオ、黒人、諸混血集団を支配する特権階層を形成したが、植民地官僚機構においても教会組織においても、現実にはペニンスラールと明確に区別され、差別的な地位に甘んじなければならなかった。
しかし植民地時代の末期には、地方官僚、下級聖職者、商人階層として植民地社会で重要な位置を占めるに至り、スペイン領アメリカ大陸諸地域の独立革命では中心的な役割を担った。彼らの意識は基本的にヨーロッパに強く傾斜していたため、彼らによって形成された独立国家においても、20世紀の初頭に至るまで、非白人諸集団は社会的、文化的に差別の対象とされた。なお、植民地生まれの黒人奴隷、植民地独特の動植物や料理をクリオーリョとよぶ場合もある。
[清水 透]
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元来は外地で生まれたヨーロッパ人をさしたが,その後,(1)アメリカ大陸生まれのスペイン人,(2)カリブ海,またはアメリカ大陸生まれのアフリカ人をさすようになった。(1)に対して本国生まれのスペイン人はペニンスラール,または蔑称的にガチュピンと呼ばれた。また,黒人などが話すヨーロッパ系の言葉もクリオーリョ(クレオール)と呼ばれた。形容詞としては「アメリカ大陸固有の」という意味に用いられる。
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…その後18世紀末までキューバは人口も少なく,経済的にもさして重要性をもたぬ,牧畜とタバコ,砂糖を生産する小農的な社会の植民地にとどまっていた。
[砂糖革命以後]
しかし18世紀の末,隣のフランス領サン・ドマング(ハイチ)で奴隷反乱が起こり,その島の繁栄していた砂糖産業が壊滅したことや,アメリカ合衆国が独立してキューバの貿易相手として登場したこと,さらにキューバの開明的なクリオーリョcriollos(土着化したスペイン人)の地主階級が黒人奴隷の輸入自由化を求め,大規模な土地所有が可能になるよう本国政府に積極的に働きかけ,それらを実現したことなどによって,18世紀末から〈砂糖革命〉と呼ばれる大規模な奴隷制砂糖プランテーション産業が勃興した。さらに1840年代以降には鉄道や蒸気機関を導入するなどして砂糖産業はますます発展し,60年には早くも世界最大の砂糖生産地となった。…
…スペイン語ではクリオーリョcriollo。クリオーリョの原義は〈育てられた人〉で,16世紀には新大陸生れの純粋のスペイン人を指す言葉として用いられた。…
…しかし,その非民主的性格,効率の悪さや衰退する権威と自治権にもかかわらず,カビルドはかなり重要な組織であった。カビルドはクリオーリョ(クレオール)がその成員の大多数を占める唯一の政治組織として19世紀の独立戦争の時代に重要な役割を果たすことになったのである。 副王,アウディエンシアなどに代表された王権は副王領の中心地とその近隣地域では揺るぐことはなかったが,はるか遠方の孤立した地方では大土地所有者(アシエンダ)の権力が絶大であった。…
※「クリオーリョ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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