〈糸操り〉ともいい,人形芝居の一形態。壇上の人形遣いが,人形の各所に糸をつけ,その糸を手板と呼ばれる操作板で操るのが基本形。中国の〈懸糸傀儡〉が渡来したものという意味とも,小さいかわいいものを南京というところからの呼称ともいう。鎌倉期五山僧の漢詩などによって,小さい舞台を使っての糸操り上演の模様がうかがわれる。近世の操座では手遣いが主流を占め,一部の演出に用いられたほかは小芝居で演じられた。1617年(元和3)の《徳永種久紀行》に江戸中橋の景として〈上るりを,木にて作りしでこのぼう,いとであやつるおもしろや〉と記し,また93年(元禄6)の《好色伝授》中の上方の歌舞伎舞台上で演じられた資料などがある。後しだいに衰え,糸操りと呼ばれて見世物芸となる。現在では,結城孫三郎人形座と竹田扇之助人形座の2座が残るが,山口県柳井市や島根県出雲市の旧大社町,同県益田市,富山県入善町などの地方にも伝承されている。
執筆者:信多 純一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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…したがって,人形自体に仕掛けして自動的に動く〈からくり人形〉以外のものを〈操り人形〉と総称し,かつ浄瑠璃に合わせて演じる人形芝居を〈操り浄瑠璃〉と呼んだ。江戸中期以後は義太夫節による三人遣いの文楽様式がもっぱら行われるようになったため,操りは文楽を意味する語となり,歌舞伎の丸本物(義太夫狂言)を〈操り狂言〉と呼ぶようになって,本来の糸操りはかえって〈南京操り〉として区別された。しかし歌舞伎舞踊の《操三番叟》のように,糸操りを意味する用例も皆無ではない。…
※「南京操り」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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