20世紀日本人名事典 「南方 熊楠」の解説
南方 熊楠
ミナカタ クマグス
明治〜昭和期の生物学者,民俗学者,人類学者
- 生年
- 慶応3年4月15日(1867年)
- 没年
- 昭和16(1941)年12月29日
- 出生地
- 紀伊国和歌山(和歌山県和歌山市)
- 学歴〔年〕
- 和歌山中〔明治16年〕卒,ミシガン州立ランシング農学校〔明治19年〕中退
- 経歴
- 金物商の次男として生まれ、上京して大学予備門に入るが中退。明治19年に渡米、ミシガン州立ランシング農学校などに学んだのち、曲馬団事務員となり、中南米、西インド諸島を巡遊した。この間、各種の標本や地衣類、菌類の採集に努める。25年にイギリスに渡り、ロンドン学会の天文学懸賞論文第1位となってその名を知られる。大英博物館東洋調査部員などを経て、33年に帰国。和歌山、勝浦、那智を中心として隠花、顕花植物の採集と分類整理に没頭する一方、「人類学雑誌」「植物学雑誌」「太陽」などに寄稿し、その古今東西を兼ねた博大な学識と、ナチュラリストとしての見識が高く評価された。生涯に70種余の新菌種を発見したほか、天才的な語学力と暗記力を持った博覧強記により、日本の民俗学に欠けていた歴史的観点の補訂に尽力した。その主要な業績は「南方熊楠全集」(全12巻 平凡社)に収められている。昭和62年、未整理のまま残されていた菌類図譜稿本がまとめられ「南方熊楠菌誌」として出版された。また平成2年民俗学・民族学者を対象とした南方熊楠賞が制定された。
出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報