南苑(読み)なんえん

改訂新版 世界大百科事典 「南苑」の意味・わかりやすい解説

南苑 (なんえん)

平城宮に関連する施設。《続日本紀》での初見は727年(神亀4)で,以後同書に747年(天平19)までみえる。仁王経講説騎射叙位,宴などに使われた。平城宮内のどこが南苑にあたるかは確証はないが,関野貞は平城宮中軸線上で,初期の大極殿南方に推定している。騎射などからみてかなり広い場所であることが必要であり,また727年の《続日本紀》の記事によると楯波池からおこった風によって南苑の樹2株が吹きおれたとあるから,同苑には樹木も植えられていたことが知られる。また楯波池が現奈良市佐紀町佐紀池であるとすれば,前述した関野貞の推定地は適合的な場所といえる。しかし,南苑を宮外とする説もあり,所在の確定は今後の課題である。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

普及版 字通 「南苑」の読み・字形・画数・意味

【南苑】なんえん(ゑん)

南側の苑。唐・杜甫〔江頭に哀しむ〕詩 (おも)ふ、昔霓旌(げいせい)(み旗)、南に下り 中の物、顏色を生ずるを

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