日本大百科全書(ニッポニカ) 「南葛労働会」の意味・わかりやすい解説
南葛労働会
なんかつろうどうかい
1922年(大正11)10月に渡辺政之輔(まさのすけ)らが東京府下南葛飾(みなみかつしか)郡亀戸(かめいど)町(江東(こうとう)区)付近を拠点につくった左翼労働組合。当初の名称は南葛労働協会であったが、翌年1月29日の大会で南葛労働会と改称。労働組合運動の経験者藤沼栄四郎(ふじぬまえいしろう)を顧問格に、渡辺、川合義虎(かわいよしとら)、南巌(みなみいわお)、吉村光治(こうじ)、加藤高寿、北島吉蔵(きたじまきちぞう)、相馬(そうま)一郎らの青年労働者によって創立された。会員には種々雑多な企業に働く労働者が集まり、生粋(きっすい)のプロレタリアという意識が強く、戦闘心、団結心、連帯感に富み、これがため「南葛魂」と称された。しかし23年9月、関東大震災下の亀戸事件で川合、吉村、北島、相馬らが虐殺され、翌24年2月22日、東京東部合同労働組合に改組した。
[渡辺悦次]