単心室血行動態(非Fontan手術後患者)

内科学 第10版の解説

単心室血行動態(非Fontan手術後患者)(チアノーゼ性心疾患)

(4)単心室血行動態(非Fontan手術後患者)
 非Fontan手術患者はその不適応例や適応でも手術を拒否して成人する場合がある.中等度から重度肺動脈狭窄がある場合やBTシャントなどの体肺短絡術で肺血流が適当(Qp/Qs = 1.5前後)に保たれ,房室弁と心室機能が維持されていることが多い.内蔵臓器錯位症候群(heterotaxy syndrome,isomerism)である場合も多い.単心室,一側房室弁閉鎖(三尖弁閉鎖,僧坊弁閉鎖),左右心室容積のアンバランスなAVSD,両大血管右室始起,TGAなどの単心室血行動態を有する複雑ACHD患者では,機能的単心室から全身に血流が駆出され,肺循環は肺動脈,側副血行路血行路,Glenn吻合(上大静脈-肺動脈吻合)などで供給される.肺血流量が低酸素血症の程度を規定し,運動時は体血管抵抗の低下によりチアノーゼが著明となる.
臨床症状
 息切れ,易疲労感を示し,多くはNYHAクラスⅡ~Ⅲである.肺動脈弁狭窄では駆出性収縮期雑音を聴取する.ばち指を認め,約30%が肥厚性骨関節症のため自発あるいは圧痛を訴える.
検査成績・診断
 胸部X線写真では房室弁閉鎖不全や心不全が強い場合は心陰影拡大を示す.低肺血流では肺血管陰影が少ない.側弯症を認めることも多い.心電図では左室型単心室では左軸偏位,左室肥大,右室型単心室で右室優位を示す.心エコー図では心室形態,欠損口,房室弁機能などを評価するが,血管系の評価は困難である.心臓カテーテル検査および心血管造影は血行動態や動静脈系の形態評価に有用で,体肺側副血行路の評価やFontan手術の適用を検討する.
経過・予後
 未手術の単心室患者の予後は悪く,特に右室型で悪く,診断後4年生存率は50%で,不整脈,心不全,突然死が死亡原因とされる.長期生存者の特徴は,中等度から重度の肺動脈狭窄があり適切な体肺血流比で,心室および房室弁機能が維持されている場合が多い.
治療
 Fontan手術の適用外の場合,対処的な治療法となる.長期酸素療法の予後改善効果は明らかでない.瀉血は酸素運搬能低下や脳梗塞のリスクを高める場合があり最低限とする.腎機能低下などの多臓器機能不全を合併し,集学的な治療を必要とする.
(5)Eisenmenger症候群
 頻度は低下傾向でACHDの約4%である.肺動脈圧が体血圧と同等で,肺血管抵抗上昇>800 dyne・秒/cm(10単位,15単位・m2),心内あるいは心外肺体短絡の存在を伴う症候群とされる.[大内秀雄]
■文献
Nakazawa M, Shinohara T, et al: Study Group for Arrhythmias Long-Term After Surgery for Congenital Heart Disease: ALTAS-CHD study. Arrhythmias late after repair of tetralogy of fallot: a Japanese Multicenter Study. Circ J, 68: 126-130, 2004.
Ohuchi H, Kagisaki K, et al: Impact of the evolution of the Fontan operation on early and late mortality: a single-center experience of 405 patients over 3 decades. Ann Thorac Surg, 92: 1457-1466, 2011.
Shiina Y, Toyoda T, et al: Prevalence of adult patients with congenital heart disease in Japan. Int J Cardiol, 146: 13-16, 2011.

出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報

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