原子力航空母艦基地問題(読み)げんしりょくこうくうぼかんきちもんだい

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「原子力航空母艦基地問題」の意味・わかりやすい解説

原子力航空母艦基地問題
げんしりょくこうくうぼかんきちもんだい

1968年前後原子力航空母艦の在日アメリカ海軍基地への寄港をめぐって非核三原則とのかねあいで池田,佐藤両内閣下の与野党間で争われた問題。この問題は日本がアメリカの「核の傘」の下に入っている事実を内外に示したものである。 67年9月7日オズボーン駐日米代理大使は外務省に原子力艦艇の日本寄港を申入れ,原子力委員会は 11月1日「安全性の点で心配ない」との結論を出し,政府は翌年の閣議で寄港受入れを了承し,同日日本側よりオズボーン代理大使に通知された。これを受けて 68年1月 19日,米原子力航空母艦『エンタープライズ』号が佐世保入港した。以後,日本で軍港設備のある港には原子力空母が絶えず入港,離港し,その結果基地化した。入港の理由は乗員休養,または船体の修理だとされた。また原子力潜水艦も同様の行動に出た。公式には原子力艦艇の核積載の寄港は否定されていたが,公然の秘密となっており,77年3月 29日,福田赳夫内閣領海を 12カイリ (従来は3カイリ) に拡大し,「核三原則」のたてまえもあり国際海峡を自由航行させる必要上,艦船の航行には領海を3カイリにしておくとしたとき明らかになった。

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