原核細胞(読み)げんかくさいぼう(その他表記)procaryotic cell

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「原核細胞」の意味・わかりやすい解説

原核細胞
げんかくさいぼう
procaryotic cell

核膜をもたず,したがって明確な輪郭をもつ核の観察できない細胞前核細胞ともいう。具体的には細菌(→細菌類)と藍藻類がこれに属する。これに対して明確な核をもつ細胞を真核細胞という。原核と真核の差を生物界での大きな分類区分の一つとしてあげるときには「原核生物」というが,原核生物はすべて単細胞性なので実質的には原核細胞と同じことである。原核細胞と真核細胞は,核の有無といった形態上の相違だけではなく,原核細胞にはミトコンドリア葉緑体がなく小胞体系も発達しないので,膜の関与する機能がすべて細胞膜の部分で行なわれることや,リボソームの性状にも差があることなど,基本的な違いをもっている。細胞の進化における寄生説(→細胞内共生説)によれば,太古に,ある原核細胞に従属栄養を営む他の原核細胞が寄生したものがミトコンドリアの起源であり,また独立栄養型の原核細胞が寄生したところから葉緑体が生じてきたとされる。

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栄養・生化学辞典 「原核細胞」の解説

原核細胞

 前核細胞ともいう.細胞内に明確な核がなくDNAが裸の状態で存在している細胞.細菌の細胞など.

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世界大百科事典(旧版)内の原核細胞の言及

【細菌】より

…分裂菌類には,真正細菌のほか,放線菌,粘液細菌,スピロヘータなども含まれている。 細菌(真正細菌類)は,原核細胞からなる単細胞生物である。その種類は1800近くが知られている。…

【細胞】より

… 現在,いろいろな細胞の微細構造ならびにその代謝機能が明らかにされるに及んで,生物の違いや細胞の違いを超えた共通普遍性を基盤に,細胞の特異性を理解し,また,研究する細胞生物学cell biologyが大きな発展を遂げている。
【原核細胞と真核細胞】
 細胞には,原則的に1個の核様体nucleoid,あるいはnucleusがあって,その生物種に固有の遺伝子(DNA)のすべてがそこに局在している。すべての細胞は,核様体をもつ〈原核細胞prokaryotic cell〉と核をもつ〈真核細胞eukaryotic cell〉の二つのグループに分けられる。…

※「原核細胞」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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