原核生物(読み)げんかくせいぶつ

精選版 日本国語大辞典 「原核生物」の意味・読み・例文・類語

げんかく‐せいぶつ【原核生物】

〘名〙 原始的な構造の核をもつ生物核膜染色体、仁などの構造を欠くだけでなく、ミトコンドリア葉緑体ゴルジ体などの細胞器官をもたず、その細胞の構造は単純である。細菌藍藻(らんそう)がこれに当たる。⇔真核生物

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デジタル大辞泉 「原核生物」の意味・読み・例文・類語

げんかく‐せいぶつ【原核生物】

核膜がなく、DNA分子がほとんど裸のまま細胞のほぼ中心部にあり、構造的には細胞質から区別できない生物。真正細菌古細菌に分類される。細菌藍藻らんそうなど。バクテリア。→真核生物

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百科事典マイペディア 「原核生物」の意味・わかりやすい解説

原核生物【げんかくせいぶつ】

原核細胞からなる単細胞生物総称細菌マイコプラズマラン藻類を含み,近年ではこれらをモネラ界として,動物植物菌類・原生生物界と合わせて5界とする考え方がある。原核細胞は核をもたず,染色体は原形質中に散在していて,大きさは1μm程度のものが多い。最も原始的な生物と考えられる。→真核生物
→関連項目核(生物)生物

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「原核生物」の意味・わかりやすい解説

原核生物
げんかくせいぶつ

原核とよばれる原始的な細胞核をもっている生物の名称で、真核生物と対(つい)をなす語。原核生物はすべて単細胞で、原核菌類と藍藻(らんそう)植物が含まれ、34億年前の藍藻の化石が発見されており、生物進化ではもっとも古い生物であると考えられている。原核生物では、核酸(DNA)が膜に包まれることなしに分子状態のままで細胞質中に存在し、ミトコンドリアなどの構造体がないといった特色がみられる。

[片島 亮]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「原核生物」の意味・わかりやすい解説

原核生物
げんかくせいぶつ
procaryote

前核生物ともいう。原核細胞から成る生物の意で,具体的には細菌と藍藻類である。これらはいずれも本質的には単細胞型の生物なので,原核細胞と原核生物とは,内容にそれほどの差異はないが,レンサ球菌やネンジュモのように,糸状の群体になるものはある。

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栄養・生化学辞典 「原核生物」の解説

原核生物

 細胞内に明確な核がなくDNAが裸の状態で存在している生物.細菌など.

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世界大百科事典(旧版)内の原核生物の言及

【植物】より

…生物界を動物と植物に二大別するのは,常識の範囲では当然のように思えるが,厳密な区別をしようとするとさまざまな問題がでてくる。かつては生物の世界を動物界と植物界に二大別するのが常識だったが,菌類を第三の界と認識すると,それに対応するのは狭義の動物(後生動物),狭義の植物(陸上植物)ということになり,原生動物や多くの藻類などは原生生物という名でひとまとめにされ,また,これら真核生物に比して,細菌類やラン藻類は原核性で,原核生物と別の群にまとめることができる。そこで,生物の世界を,動物界,植物界,菌界,原生生物界,原核生物界(モネラ界)の5界に大別する5界説が提議され(R.H.ホイッタカー,1969)広く使われているが,これは生物の世界をわかりやすく整理したもので,いわゆる人為分類の体系である。…

【進化】より


[最初の25億年]
 生物がどのようにして誕生したかはともかく,現在最古の生物とされる化石は,約35億~30億年前の岩石から発見されている。それは原核生物であると考えられているが,今日の進化史の起点は一応ここに置かれる。この生物はおそらく無機物からの有機物合成能力を欠いていたであろう。…

【生物】より

…しかし,すべての動物,植物では,遺伝子DNAは染色体の中に収められ,この染色体の集団が細胞分裂の間期には核膜に包まれて,いわゆる核を形成している。この違いは,細胞内における遺伝子情報の発現,遺伝子の増殖や組換えなどの様式にも反映して大きな違いを生じているので,前者を原核生物procaryote,後者を真核生物eucaryoteと呼び,区別して扱うようになっている。
[個体と種]
 原核生物,真核生物を問わず,生物は外界とはくぎられた一つの存在であるから,多くの生物は個体という形をとって生きている。…

【分裂植物】より

…エングラーG.H.A.Englerが設定した用語で(1892),ラン藻(分裂藻)と細菌(分裂菌)がこれに属する。細胞の構造から見れば,この群は核が未分化で,ミトコンドリアや葉緑体を有せず,原核生物としてまとめられるものであるが,進化の段階が同程度の植物群を集めたもので,自然分類群ではない。【西田 誠】。…

※「原核生物」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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