改訂新版 世界大百科事典 「原田氏」の意味・わかりやすい解説
原田氏 (はらだうじ)
古代,中世の北九州の豪族。本姓大蔵氏。藤原純友の追捕使大蔵春実の裔とするが確証はない。11世紀,刀伊の入寇に活躍した大宰大監種材が府官大蔵氏の初見。以後,大監を世襲し,12世紀中ごろ,種平は検非違使執行を兼ね,武力で所領を拡大し,一族は拒捍使(きよかんし)に任じられる。子種直は筑前国の怡土郡原田荘,那珂郡岩戸を本拠に平家方人となり,1181年(養和1)大宰権少弐に任命され,北九州随一の府官として治承・寿永の内乱に活躍した。鎌倉期には筑前守護少弐氏の管轄下に懼伏(くふく)していたが,三原,波多江氏等の庶子が成長。南北朝内乱期に失地回復を図り少弐氏に敵対,南軍で活躍する種長などが台頭した。室町期には北九州に進出した大内氏と結び周辺の在地領主を麾下(きか)に入れて有力国人に成長,大友氏勢力と対立した。戦国期も大内氏,毛利氏と結び,了栄のとき勢力は近隣に広がったが,信種の代に豊臣秀吉の九州征伐で知行を没収され,浪人となる。
執筆者:正木 喜三郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報