口切(読み)くちきり

精選版 日本国語大辞典 「口切」の意味・読み・例文・類語

くち‐きり【口切】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. 容器などの口の封を切って初めてあけること。また、そのあけたばかりのもの。くちあけ。くちびらき。
      1. [初出の実例]「今度取て来たらば、汝に口切をさせうぞ」(出典:虎寛本狂言・千鳥(室町末‐近世初))
    2. 陰暦一〇月の初め頃に、夏から封じておいた新茶のつぼを初めてあけること。また、その茶で催す茶会。《 季語・冬 》 〔日葡辞書(1603‐04)〕
      1. [初出の実例]「後陽成院の御時、御口切(クチキリ)とて、御壺出でたりつるを」(出典咄本醒睡笑(1628)八)
    3. 物事をし始めること。てはじめ。かわきり。くちあけ。
      1. [初出の実例]「糀町の乾物屋より口切して」(出典:浮世草子・世間娘容気(1717)五)
    4. 取引所などで、売買成立の最初をいう。
  2. [ 2 ] 〘 副詞 〙 容器などの口までたっぷりと物がはいっているさまを表わす語。
    1. [初出の実例]「残りの肴を重に詰め、酒も口(クチ)きりついで来ました」(出典:歌舞伎・扇音々大岡政談天一坊)(1875)序幕)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の口切の言及

【茶事】より

…(6)不時 臨時の会,予約されていない,という場合と,食事の時刻をはずすという2通りの解釈がある。(7)口切 11月にその年の新茶を詰めてある茶壺の封を切って,その場で石臼でひいて供する。茶の湯の新年行事で最も重大視されている。…

※「口切」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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