古市町(読み)ふるいちちよう

日本歴史地名大系 「古市町」の解説

古市町
ふるいちちよう

[現在地名]伊勢市古市町

内宮と外宮の間にあり、間山あいのやまのほぼ中間にある。古市場のあった地と伝え、「釈尊寺旧記」に載る興国三年(一三四二)と思われる五月一二日付の祭主宛外宮禰宜の書状に、「宮市庭須崎事、就中河原古市庭輩申状、可相尋商人之由、被下御下知候歟之間、御使等今日十二日可問答之由承及候」と記される。享保一七年(一七三二)の「毎事問」(神宮文庫蔵)によれば「古市ハ古市場ト云ト聞リ古ヘ此ノ所ニテ市ノアリタル故ナルベシ、何レノ比ヨリ其ノ市絶エタルヤ」との質問に対して、「前後ヲ以テ考フルニ南朝ノ興国三年ト見エタリ、其ノ時ニ市アラバ古市ト云フベカラザルカ、然レバ此ノ称ハ興国ノ比ヨリ有テ、市ハ已ニ絶タル時ナル歟」と答えている。


古市町
ふるいちまち

[現在地名]新南陽市大字富田

富田とんだ村のほぼ中央南、海に面して開かれた湊町で、古くは富田川の河口にできた川の州上に開かれたともいわれる。「地下上申」は「往古虎か淵と申之由、于今虎か淵とは唱へ候へ共、本説ニは古市と申ならハし候、毎年十二月廿八日計、少之市立申候、徳山市繁昌仕ニ付、此市例年共ニ少之市ニて御座候、右新町有之故か古市と申ならハし候」と記す。

海に面した古市は古くから廻船業が盛んで、当時の富田湊からは東大寺領運上物をはじめ、多くの物資が出港した。応仁二年(一四六八)一一月二八日付の、国庁の目代玉舜が署名している東大寺の油倉宛の送進状(京都大学所蔵東大寺文書)には「富田弥益丸」とあり、同年の「入明諸要例」にも「富田弥増丸」と記される。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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