古都ダマスクス(読み)ことダマスクス

世界遺産詳解 「古都ダマスクス」の解説

ことダマスクス【古都ダマスクス】

1979年に登録されたシリアの世界遺産(文化遺産)。首都ダマスカスは、エジプトメソポタミア、地中海地域を結ぶ交通・交易要衝として、紀元前3000年頃から形成された中東最古の都市の一つ。紀元前4世紀のアレキサンダー大王の東征後、古代ギリシア、ローマ帝国の支配下に置かれ、635年にアラブの支配下に入り、ウマイヤ朝の首都として栄えた。宗教・文化の先進地域として壮麗なモスクが多数建築された。現存する城壁は、13世紀初頭に、十字軍やモンゴル帝国の侵略を防ぐために、アラブ人が建て直したもの。ウマイヤ・モスク、聖パウロ聖堂、トルコ様式のアゼム宮殿なども残っている。また、旧市街を東西に走る「まっすぐな道」は、新約聖書に登場することでも知られる。2011年以降のシリア騒乱により、ダマスカス旧市街もしばしば戦火にさらされ、2013年に危機遺産リストに記載された。◇英名はAncient City of Damascus

出典 講談社世界遺産詳解について 情報