古銀山(読み)こぎんざん

日本歴史地名大系 「古銀山」の解説

古銀山
こぎんざん

[現在地名]吉舎町三玉

三玉みたまから町内安田やすだへ越える小さな峠に至る谷を古銀山あるいは金山かなやまともいう。近世初頭銀鉱が採掘されていたことによる名で、現在も幾つかの間歩まぶ(坑道)が残る。

近世に吉舎村などの村役人を歴任した川北(泉屋)の、享保一八年(一七三三)の川北家覚書(同家文書)によると、この銀山は慶長年間(一五九六―一六一五)頃開かれ、「三次両町之者請山ニ仕、其奉行ニ十日市印判屋念西・与七郎(川北)両人罷越諸式引受居候処ニ、ほとなく銀山退転仕」とあり、どの程度の期間稼行されたかは不明。三玉村に隣接する吉舎宿は石見国大森おおもり銀山(現島根県大田市)の運上銀・銅の尾道港への輸送経路の宿駅であり、泉屋の一族の者が大森銀山大田おおだ(現島根県大田市)養子縁組をしたり、大森銀山で製錬に用いた堅炭を「吉舎炭」と称したことなどから、この銀山の開発が大森銀山との結び付きで行われたことが推定される。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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