叩き上げる(読み)タタキアゲル

デジタル大辞泉 「叩き上げる」の意味・読み・例文・類語

たたき‐あ・げる【×叩き上げる】

[動ガ下一][文]たたきあ・ぐ[ガ下二]
たたいてつくりあげる。
漆喰しっくいで―・げた二坪程の土間に」〈漱石吾輩は猫である
下積みの苦労を重ねて技量を磨き、一人前になる。「見習いから―・げた職人
金銭・財産を使い果たす。
「遂には皆―・げて」〈仮・浮世物語・一〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「叩き上げる」の意味・読み・例文・類語

たたき‐あ・げる【叩上】

  1. 〘 他動詞 ガ下一段活用 〙
    [ 文語形 ]たたきあ・ぐ 〘 他動詞 ガ下二段活用 〙
  2. たたいて高くあげる。また、たたいて高い音をだす。
    1. [初出の実例]「足のたたぬ所をば馬の頭(かしら)をたたき上(アゲ)て泳(およが)せ」(出典太平記(14C後)一九)
  3. たたいて作りあげる。
    1. [初出の実例]「漆喰で叩き上げた二坪程の土間に」(出典:吾輩は猫である(1905‐06)〈夏目漱石〉三)
  4. 財産を使い果たす。残らず金をはたきつくす。身代をつぶす。
    1. [初出の実例]「程なく一跡(せき)をたたきあげ、今程かの何十郎殿は都の住居もならず」(出典:仮名草子・浮世物語(1665頃)一)
  5. 修業を積み苦労を重ねて人格・技量などを立派に完成する。鍛えあげる。また、そういう努力を重ねて上の地位につく。
    1. [初出の実例]「一度叩上(タタキア)げた根性は」(出典:老車夫(1898)〈内田魯庵〉)
  6. ( たたく仕事をすっかり終えるの意から ) 桶屋がその一生を終える。
    1. [初出の実例]「桶屋が死ぬるとたたきあげたといふ」(出典:妙好人伝(1842‐52)三)

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