…戦前の日本の法曹養成制度は,判・検事と弁護士では異なっていた。判・検事は,高等試験司法科試験に合格して1年以上裁判所・検事局において司法官試補(官吏として俸給を受けた)として計画的な実務修習を受け第2回試験に合格すれば,判事または検事に任命されたのに対して,弁護士は高等試験司法科試験(1918年以前は判・検事のための試験とは別の試験)に合格した後1年半弁護士試補(無給)として弁護士事務所で修習を経て試験に合格して弁護士となった。司法研修所の設立および司法修習制度の創設は,この司法官試補と弁護士試補という2本立ての法曹養成制度を一元化した画期的なもので,世界にも類例がない。…
… 明治以来,ローマ法系に属するドイツやフランスの司法制度の強い影響を受けた日本でも,法曹間における一体感は希薄であり,むしろ在朝法曹(判事,検事)と在野法曹(弁護士)との対立が基調をなした。判事と検事との間には一体感が見られ,この両者は採用試験(判・検事登用試験),合格後の養成制度(司法官試補)において共通であり,弁護士の試験(弁護士試験),養成制度(当初は不存在,のちに弁護士試補)と異なっていた。1914年,判・検事と弁護士について共通の高等試験司法科試験が,施行されるようになった後も,養成制度は依然として前者が司法官試補として共通の訓練・教育を受けたのに対し,後者は弁護士試補として,別異の養成制度に服した。…
※「司法官試補」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新
10/1 共同通信ニュース用語解説を追加
9/20 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新