吉利郷(読み)よしとしごう

日本歴史地名大系 「吉利郷」の解説

吉利郷
よしとしごう

[現在地名]日吉町吉利

近世の郷で、鹿児島藩の外城の一。中世は日置郷とともに日置北ひおきほく郷と称された。北は日置郷、東は伊集院いじゆういん郷、南は永吉ながよし郷に接し、西は吹上ふきあげ浜に面する。上之浜うえのはま浦を含む吉利村一村からなり、禰寝氏の私領である。天文一二年(一五四三)に吉利久定が当地の領主として現れるが、天正六年(一五七八)日向塩見しおみ(現宮崎県日向市)地頭となったため、伊集院忠棟が領知した(薩州吉利氏系図・薩藩沿革地図)。文禄四年(一五九五)豊臣秀吉の命により禰寝重張が禰寝ねじめ(現根占町)の本貫地から転封され、南谷なんごんに領主館を置いた。以後、重政・重永・清雄・清純・清方・清香・清行・清穆・清猷・清廉が吉利郷領主となり明治維新を迎えた。清香は宝暦一一年(一七六一)に小松姓に改めた(「薩陽武鑑」など)。禰寝氏は鹿児島藩家老として活躍し、また殖産興業に力を尽した。植林や櫨蝋・漁網生産の基礎を作り奨励した清雄、農民の屋敷地一畝に棕櫚一本を植えさせ棕櫚縄などの原料とさせた清香、幕末維新期の家老として国事に奔走した帯刀清廉は有名である。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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