日本大百科全書(ニッポニカ) 「同盟進工組」の意味・わかりやすい解説
同盟進工組
どうめいしんこうぐみ
1889年(明治22)6月に小沢弁蔵(べんぞう)らが結成した労働者団体。小沢は慶応(けいおう)年間(1865~68)以来の「西洋鉄工」で、その影響下にある職工は数多かった。同盟進工組結成当時、小沢は石川島造船所で働いており、同所のほか海軍造兵廠(しょう)、陸軍造兵廠、田中機械製作所(現在の東芝)、鉄道局の労働者がそこに加わった。組織の目的は、労資の調和を図り、両者の関係を調整し、職業紹介や相互扶助を行い、自分たちの手になる工場を建設することであったが、まもなく、役員が会員の積立金を使い込んだという噂(うわさ)がたち、解散を余儀なくされた。しかし、この組織の活動経験は、のち、鉄工組合の成立(1897年12月)と発展に役だつことになった。
[三宅明正]