名板貸(読み)ないたがし

日本大百科全書(ニッポニカ) 「名板貸」の意味・わかりやすい解説

名板貸
ないたがし

自分の氏名または商号を使用して営業することを他人に許諾する契約。看板(かんばん)貸、名義貸ともいう。自分の信用を他人に利用させる手段として名義を貸したり、または営業の免許を受けた者が無免許者に名義を貸して営業を可能にする手段として利用される。しかし、前者の場合、外観を信用して取引する一般大衆の利益を保護する必要があるので、商法は、名板貸主は自分を営業主と誤認して取引した者に対し、その取引によって生じた債務につき、連帯して弁済の責に任ずるとして、名板貸主の責任を定めている(商法14条)。外観主義あるいは禁反言法理の現れである。後者については、営業免許をくぐり抜けることにより公益を害するおそれがあるので、契約そのものを禁止する場合がある(質屋営業法6条、古物営業法9条など)。

[戸田修三]

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