免許(読み)めんきょ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

免許
めんきょ

広く用いられる用語であるが,そのなかには種々の異なる性格のものが含まれ,講学上の許可を意味する場合と特許を意味する場合とがある。許可を意味する場合は,医師法第2章 (免許) ,薬剤師法第2章 (免許) ,道路交通法 84条 (運転免許) ,酒税法第2章 (酒類の製造免許および酒類の販売業免許) ,銀行法2条 (営業の免許) などがある。特許を意味する場合は,学説により違いがあるが,地方鉄道法 12条 (営業の免許) ,漁業法 10条 (漁業の免許) ,公有水面埋立法2条 (埋立の免許) などがある。

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デジタル大辞泉の解説

めん‐きょ【免許】

[名](スル)
ある特定の事を行うのを官公庁が許すこと。また、法令によって、一般には禁止されている行為を、特定の場合、特定の人だけに許す行政処分。「免許を取得する」「免許がおりる」「運転免許
「幕府時代に―した敷設の権利を」〈藤村夜明け前
師から弟子にその道の奥義を伝授すること。また、その証書。ゆるし。「師範の免許を与える」

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世界大百科事典 第2版の解説

めんきょ【免許】

ある特定の者に対し,その者が一定の行為または活動をなしうる旨を定める行政庁の行為をさして,しばしば免許の語が用いられるが,学問上の概念ではない。法令上,免許と呼ばれるもののうちには,医師免許(医師法2条),運転免許(道路交通法84条),酒類製造免許(酒税法7条)および酒類販売業免許(9条)などのように,行政法学でいう許可,つまり一般的禁止を個別に解除するにとどまるものもあり,また,地方鉄道業の免許(地方鉄道法12条)や漁業免許(漁業法10条)などのように,行政法学上の特許の性質をもち,相手方に一定の独占の権利を生ぜしめるものもある。

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大辞林 第三版の解説

めんきょ【免許】

( 名 ) スル
一般には禁止または制限されている行為を、行政官庁が特定の場合に特定の人だけに許すこと。許可。
〘法〙 「特許」に同じ。
師匠が弟子に、芸能や武術などの奥義おうぎを伝授すること。また、伝授したことを証して与える許し状。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

免許
めんきょ

行政上の事前規制の一種。車の運転免許、公有水面埋立免許、医師免許、かつての自動車運送事業の免許などがその例であるが、こうした用語が実定法上用いられるのは立法の偶然によるもので、法律的には、単に役所から許しがあったというにとどまる。学問的にその性質を分析すると、許可か特許か認可であって、学問上、免許という用語はない。
 車の運転免許、医師免許は、学問上は許可であって、国民に対し車の運転、医療行為を一般的には禁止し、一定の試験に合格した者にその禁止を解除する仕組みである。これは社会の安全を守るためで、その点が実証されれば、他の者との競争などを考慮せず、当然に禁止が解除される。
 これに対し、かつて自動車運送事業についておかれていた免許制の場合、国民に対し自動車運送事業の営業を一般的には禁止し、一定基準に合致した者に免許を与えて営業させる点では同じであるが、その基準のなかに、需要と供給の均衡という観点が入っており(需給調整規制)、すでに供給過剰であるときは営業が認められない点で、一般の許可と異なるとされたのである。それは学問的に、特許といわれるものに近い扱いであった。
 しかし、規制緩和の動きのなかで、自動車運送事業の需給調整規制は基本的に廃止され、あわせて、自動車運送事業については、免許という用語は廃止され、自動車運送事業の許可という語が用いられている。鉄道事業法でも、以前は鉄道事業の免許という語が用いられたが、今は鉄道事業の許可とされる。なお、電気、ガス事業は、現在でも、かつての自動車運送事業の免許と類似の扱いであるが、法律の用語では、許可である。
 また、公有水面埋立ての免許は、国家公共の公有水面(海、湖、河川)を埋め立てることを私人に許し、計画どおりに埋立てが完成すれば、その所有権を埋立人に与える仕組みで、国家に属するものを私人に与えるものであるから、許可とはまったく異なっている。これは学問上の特許の典型的な例である。
 なお、農地の売買については、農地法上の許可を要するが、これは、学問上、一般的には禁止し、社会の安全を守ると判断されれば許容されるという意味での許可ではなく、私人間の契約の有効を前提にさらに公益上の観点から規制する行為で、認可と称される。[阿部泰隆]

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精選版 日本国語大辞典の解説

めん‐きょ【免許】

〘名〙
① ある特定の事を行なうのを官が許すこと。許可すること。
※重源譲状‐建久八年(1197)六月一五日「依百事縁、得免許之証文、致開発沙汰
※太平記(14C後)二四「開山別儀を以て、末寺たる可き由、申請らるるに依て、免許(メンキョ)せられ候き」
② 一般には許されていないことがらを、特別に許可すること。
※新編追加‐七七・延応元年(1239)四月一七日「凡人倫売買事、禁制殊重、然而飢饉之年計者、被免許歟」
※天草本伊曾保(1593)扉「Collegio アマクサニ ヲイテ Superiores ノ gomenqiotoxite(ゴメンキョトシテ) コレヲ ハンニ キザム モノ ナリ」
③ 名対面(なだいめん)を許されること。名謁(みょうえつ)を許されること。
※日中行事(1334‐38頃)「貫首あればめん許につきて膝まづきて申也」
④ 師匠が弟子に、武術・技芸などの修了を認定して授ける名目。また、その証書。ゆるし。伝授。免状。
※随筆・翁草(1791)一七八「当時諸国の行司并力士共への免許、拙者家より代々差出来候」
⑤ 法令によって、一般には禁止されている行為を、行政官庁が特定の人または特定の場合に解除し、認めること。
※西国立志編(1870‐71)〈中村正直訳〉八「これを考試官に出したれば、内外科医となるべき免許を得たり」
⑥ 国家の権利に属する行為について、特定の者に限りこれをすることができる権利を与えること。
※西洋事情(1866‐70)〈福沢諭吉〉初「此酋長等は或は政府の法令を憚らずして私に其土地を保つものあり或は政府に臣服し政府の免許を得て之を保つ者あり」

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世界大百科事典内の免許の言及

【許可】より

…これは,ある種の行動をひとまず一般的に禁止したうえで,個々人についてこの禁止を解除するかどうかを行政庁に決定させるというしくみである。〈許可〉とは,この場合に,行政庁が一般的禁止を個別に解除する行為を指し,許可制を定める目的に応じて警察許可(例,自動車運転免許),財政許可(例,関税法による輸入許可)等々に分類される。法令上は〈許可〉以外にも〈免許〉〈承認〉等,種々の名称が用いられる。…

※「免許」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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