名立小泊村(読み)なだちこどまりむら

日本歴史地名大系 「名立小泊村」の解説

名立小泊村
なだちこどまりむら

[現在地名]名立町名立小泊

海岸際を走る北陸道に沿い、北東難所とりくび岬を経て有間川ありまがわ(現上越市)へ続き、南の名立大町なだちおおまち村とは町続きである。古代の国造時代には鳥ヶ首岬周辺の崖上に大国主命や出雲族が住んでいたと伝える。「延喜式」兵部省に越後国駅馬として、「名立なたち」があり、馬五疋と定められていた。駅家の位置は当時の地形や北陸道の模様から名立小泊にあったと考えられる。江戸時代初期の図面にも、名立小泊の浄福じようふく寺付近に蔵屋敷と旅人宿舎が描かれている(郷土名産)。後代に書いたものとみられるが、貞和五年(一三四九)一二月一〇日の重珎社領宛行状(竹内家文書)に「名立保内宮地事」とある。竹内家は名立神社の社家である。永禄四年(一五六一)と思われる八月二九日の長尾政景宛上杉輝虎条書(上杉家文書)によれば、蘆名盛氏・大宝寺義増に対し、能生のう(現能生町)・名立に陣を張るよう命じている。天正一八年(一五九〇)以降と思われる一〇月晦日付の豊臣秀吉朱印状(津軽文書)によれば、津軽為信から秀吉へ献上する鷹を運ぶ船の停泊地の一つに「なたち」がある。

名立小泊村と名立大町村は時として名立村にまとめられて一村扱いとなり、正保郷帳では名立村は高二七二石余、元禄郷帳・天保郷帳でも高は異なるが同じ扱いである。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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