名立(読み)なだたし

精選版 日本国語大辞典 「名立」の意味・読み・例文・類語

な‐だたし【名立】

  1. 〘 形容詞シク活用 〙 名が世に立ちそうである。評判になりそうである。
    1. [初出の実例]「名だたしく、我が妻(め)子どもとて、さる恥を見せわらはれけん事よとて」(出典落窪物語(10C後)二)
    2. 「いとなだたしう、憂きことにこそあらめなど」(出典:狭衣物語(1069‐77頃か)三)

な‐だたる【名立】

  1. 〘 連体詞 〙 ( 「なだたり(名立)」の連体形から ) だれもがその力や手ごわさを認めていて有名であるさま。評判の高い。
    1. [初出の実例]「ふるき名たたる処もうつりかはり」(出典:菅江真澄遊覧記(1784‐1809)牧乃冬かれ)

な‐だて【名立】

  1. 〘 名詞 〙 評判が立つようにすること。浮き名を立てること。悪評が立つこと。また、そのような評判、取沙汰
    1. [初出の実例]「うつろはぬ松の名だてにあやなくもやどれる藤の咲きて散るかな」(出典:貫之集(945頃)二)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「名立」の意味・わかりやすい解説

名立
なだち

新潟県南西端、西頸城郡(にしくびきぐん)にあった旧町名(名立町(まち))。現在は、上越(じょうえつ)市の西部を占める一地区。1889年(明治22)町制施行。1955年(昭和30)名立村と合併。2005年(平成17)安塚(やすづか)町、柿崎(かきざき)町、大潟(おおがた)町、吉川(よしかわ)町、板倉(いたくら)町、浦川原(うらがわら)村、大島(おおしま)村、牧(まき)村、頸城(くびき)村、中郷(なかごう)村、清里(きよさと)村、三和(さんわ)村とともに上越市に編入。旧町域は、日本海に望み、名立川に沿って南北に長くのびる。海際をえちごトキめき鉄道(旧、JR北陸本線)、国道8号が通り、名立川沿いに県道が走る。近世、北陸街道に沿う宿場町として発達。中心の大町(おおまち)あたりにはいまも古い旅館街が残る。産業は半農半漁。小泊(こどまり)は漁村で、西浜(にしばま)漁業のタイ、エビ、カニなどの沿岸漁業が盛ん。名立川ではサケ放流も行われる。夏場は海水浴客でにぎわう。えちごトキめき鉄道名立駅裏の切り立った断崖(だんがい)は「名立崩れ」跡(1751年の大地震の際の断層痕)である。「西頸(せいけい)七谷」に多い崩壊性地すべりの代表的地域一つ。谷底盆地は純農村で、肉牛飼育、養豚が盛んである。

[山崎久雄]

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百科事典マイペディア 「名立」の意味・わかりやすい解説

名立[町]【なだち】

新潟県南西部,西頸城(にしくびき)郡の旧町。日本海に臨む主集落は北陸街道の宿場町として発達,北陸本線,北陸自動車道が通じる。近年,上越市などへの通勤者が増加。米作のほか,タイ,エビの水揚がある。1751年の大地震によって生じた〈名立崩(くずれ)〉がある。2005年1月東頸城郡安塚町,浦川原村,大島村,牧村,中頸城郡柿崎町,大潟町,吉川町,板倉町,清里村,頸城村,中郷村,三和村と上越市へ編入。65.93km2。3370人(2003)。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「名立」の意味・わかりやすい解説

名立
なだち

新潟県南西部,上越市西部の旧町域。西頸城丘陵を北流する名立川流域に広がり,北で日本海に面する。 1955年名立町 (1889町制) と名立村が合体して名立町が成立。 2005年上越市に編入。中心集落の名立は北陸街道 (現国道8号線) の宿場町として発展した。有名な地すべり地帯で,JR北陸本線名立駅の近くには宝暦1 (1751) 年の「名立崩 (なだちくずれ) 」の跡が今日も残っている。日本海に臨む名立地区一帯は景勝地で久比岐県立自然公園に属する。

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