周利槃特(読み)シュリハンドク

関連語 周梨槃特

日本大百科全書(ニッポニカ) 「周利槃特」の意味・わかりやすい解説

周利槃特
しゅりはんどく

釈迦(しゃか)の弟子。サンスクリット名をチューダパンタカCūapanthakaといい、朱利槃毒、周利槃陀迦(はんだか)などとも音写する。兄マハーパンタカMahāpanthaka(摩訶(まか)槃特)とともに仏陀(ぶっだ)の教団に入ったが、兄が聡明(そうめい)であるのに対し、愚鈍なことで知られ、短い詩を4か月かけても暗誦(あんしょう)することができず、兄から叱責(しっせき)されて、還俗(げんぞく)するようにいわれた。しかし、仏陀から「塵(ちり)を払い、垢(あか)を除く」ということばと掃除だけを与えられ、それを繰り返し毎日続けて、ついに大悟して阿羅漢果(あらかんか)を得たという。これより転じて、愚鈍な者をさすことばともなった。

[石上善應 2016年11月18日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「周利槃特」の意味・わかりやすい解説

周利槃特
しゅりはんどく

インドの僧。サンスクリット語 Cūḍapanthakaの音写。釈尊の弟子の一人。初期仏典によると,王舎城資産家の娘とその下男の間に生まれたとし,兄のマハーパンタカ Mahāpanthakaに教えられて出家したが,生来愚鈍であったので,4ヵ月かかっても一つの詩を記憶することができず,兄に追い出されようとしたのを釈尊がとどめて,白い布を手でもみ,それが汚れるのを示して無常を悟らせたという。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

苦肉の策

敵を欺くために、自分の身や味方を苦しめてまで行うはかりごと。また、苦しまぎれに考え出した手立て。苦肉の謀はかりごと。「苦肉の策を講じる」...

苦肉の策の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android