国指定史跡ガイド 「和歌山藩主徳川家墓所」の解説
わかやまはんしゅとくがわけぼしょ【和歌山藩主徳川家墓所】
和歌山県海南市下津町の長保寺(ちょうほうじ)境内にある和歌山藩主徳川家の墓所。長保寺は寺伝によると、一条天皇の勅願寺で、1000年(長保2)に性空(しょうくう)上人を開基とし、年号を賜って寺号とし、往時は七堂伽藍(がらん)、子院12ヵ坊を有したといわれている。墓所は御霊屋(おたまや)の裏山に造営され、国宝の大門から一般の参道とは別に通ずる玄武岩の御成道が造られている。御成道の途中には御成門があり、御廟門を入ると墓所が開ける。墓所内の墓の数は28基、うち12基が藩主の墓で、他は藩主夫人などのものである。初代頼宣の墓を中心に、地形に応じて歴代藩主などの墓が造られているが、いずれも山地を切り取った後に築かれた壮大な石垣を背にして墓標が立ち、墓標を石柱玉垣で囲み、墓標正面には石門を設け、石門の前面は参道になっている。玉垣の内部はすべて花崗岩で、石垣・参道などは玄武岩。墓標の形状は、代によって無縫塔、尖頭無縫塔、尖頭方柱形、方柱形、笠石付八角柱形である。墓所には2基の供養塔と330基の石灯籠もあり、その規模や壮麗豪華さから大名の墓制・葬制を知るうえで重要とされ、1981年(昭和56)に国の史跡に指定された。JR紀勢本線下津駅から車で約9分。